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ユニインテルが代理した実用新案権侵害案件が上海知的財産裁判所2016年度の典型案例に選ばれる

4月12日、上海知的財産裁判所は2016年度の典型案例20件を公布し、ユニインテルが代理した実用新案権侵害案件である「蘇州海路生物技術有限公司(以下、海路公司という)が江西省金洹医療器械股フェン有限公司(以下、金洹公司という)などを訴えた実用新案権侵害特許紛糾案」が典型案例に選ばれた。

【基本情報】

  海路公司は、名称が「改良型多機能標本ケース」である実用新案権(以下、本件実用新案権という)の実用新案権者である。海路公司は、金洹公司などが生産、販売、使用した糞便集卵標本ケースの技術的特徴が、本件実用新案権の請求項8に記載された技術的特徴と同じであり、本件実用新案権の保護範囲に属することを発見した。これにより、海路公司は裁判所に対し被告による権利侵害の停止を求め、すべてのイ号物件、すべてのイ号物件を製造するための設備、金型、すべてのイ号物件のパンフレットなどを廃棄することを請求し、経済的損失及び合理的費用の賠償を請求した。

【判決の概要】

  上海知的財産裁判所は、審理により、本案の主な争点はイ号物件が本件実用新案権の保護範囲に属するか否かにあると認定した。対比した結果、イ号物件と本件実用新案権の請求項8に記載された技術的特徴には以下の相違点が存在する。

1.本件実用新案権における「前記ストレーナの下に仕切板が接続される」という技術的特徴の分析において、本件実用新案権の図3によると、ストレーナがチャンバーの上部に位置し、仕切板がチャンバーの下部に位置している。これは、本件実用新案権の明細書に記載された操作ステップの詳細により得られる結論と一致する。ストレーナの下に仕切板が設けられることで得られる技術的効果について、本件実用新案権の明細書にも明確に記載されており、すなわち、二回の加液で、細胞と虫卵などの有形成分を吸液チャンバー及び加液チャンバー内で均一にし、吸液チャンバーで濃度が低くなりすぎないようにしている。一方、イ号物件については、仕切板がチャンバーを貫通し、且つ、仕切板の中央部分より下の透かし彫り箇所にストレーナが接着され、そのため、その仕切板とストレーナの位置関係は、明らかに本件実用新案権における上下の位置関係ではない。イ号物件の仕切板の、底部に近い箇所に透かし彫りにされていない部分があるが、これはケースの底部との距離が近すぎるため、本件実用新案権の明細書に記載された二回の加液の効果がなくなる。このため、ストレーナと仕切板の設置について、イ号物件は、本件実用新案権が採用する技術的手段、奏する効果、いずれも異なるので両者は同一ではなく、且つ均等でもない。

2.「前記ストレーナと前記仕切板が前記ケースを加液チャンバーと吸液チャンバーに分ける」という記載により、本件実用新案権におけるケースの二つのチャンバーの用途が区分、限定されており、すなわち、加液と吸液は、それぞれ異なるチャンバーで行われる。この技術的特徴に対する理解は、本件実用新案権の明細書及び図面を閲読した後に得られる結論とも一致する。そのほか、本件実用新案権の「ストレーナの下に仕切板が接続される」との特徴により、二回の加液の技術方案を実現することも、加液と吸液とがそれぞれ異なるチャンバーで行うことを前提とし、もし、加液と吸液とが同じチャンバーで行われるなら、そのストレーナの下に仕切板が接続されるという設計の意味がなくなってしまう。イ号物件の二つのチャンバーの用途の確定について、イ号物件は、金洹公司の自動糞便分析器に対応した消耗品であって、この製品の二つのチャンバーの用途は、イ号物件と自動糞便分析器とを組み合わせて使用した実演により確定できる。現場検証により、イ号物件も二つのチャンバーに分かれているが、実際に使用したときには、加液と吸液は、いずれも同じチャンバーで行われ、他のチャンバーは標本を放置、攪拌する作用のみを有し、このため、このチャンバーは本件実用新案権の加液チャンバーや吸液チャンバーではない。明細書の記載及び図面の記載から、本件実用新案権における加液チャンバーと吸液チャンバーは、加液針と吸液針を合わせて使用して加液と吸液を行う必要があるのに対し、イ号物件の標本を放置するチャンバー内には、加液針、吸液針を設けておらず、または挿入できないので、このことからも、このチャンバーは、本件実用新案権に記載されたチャンバーではないことを証明できる。イ号物件の二つのチャンバーは、本件実用新案権における二つのチャンバーと根本的に相違することに鑑みて、これらの技術的特徴は同一ではなく、且つ均等でもない。したがって、イ号物件は本件実用新案権の保護範囲に属するものではなく、裁判所は、海路公司の訴訟請求を棄却する判決した。

【典型的な意義】

  本事件は、実用新案権の保護範囲の確定において、請求項に記載された内容に対する理解の問題に関するものである。請求項の内容について解釈する際、明細書と図面を結合することができ、請求項における各関連する技術的特徴の間の関係を考えて、請求項を解読して得られる技術方案は、明細書に記載された本件実用新案権が解決しようとする技術的課題及び奏する予測される効果と対応すべきである。

本案において、金洹公司は、原告である海路公司の「改良式多機能標本ケース」である実用新案権に対して無効審判を請求し、ユニインテルはこの権利侵害案件を処理するとともに、金洹公司に委任され、専門のチームを組織して「改良式多機能標本ケース」に対して綿密な分析を行い、全体的な解決戦略を確定した。2015年9月8日、国家知的財産局専利復審委員会より第27053号審決が下され、「改良式多機能標本ケース」にかかる実用新案権の請求項1-7を無効にすることを宣告し、請求項8に基づき該当実用新案権の有効を維持した。当該無効審決は、被告である金洹公司の勝訴の基礎となった。


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